韓国戦!(今更ですが…)

アジアカップ準決勝、韓国戦を観ての感想。

戦前の予想通り、日本、韓国とも「4-2-3-1」の布陣。
この布陣同士の試合だと、当然ながら“サイドの攻防”が鍵となる。

日本の左サイドは香川と長友、対する韓国はパク・チソンとチャ・ドゥリ。“超攻撃的サイドバック”と称されるチャ・ドゥリの裏のスペースをいかに突くかがポイント。

一方の右サイドは岡崎と内田。韓国の左はイ・チョンヨンとイ・ヨンピョ。「おっ!イ・ヨンピョまだいたんだ!」というのが自分の感想。日韓ワールドカップで活躍し、欧州へと渡ったベテラン。ユーティリティー性と戦術理解度の高さでヒディングにも認められた“隠れた”韓国の英雄。サイドへの関心がより高まった。

韓国の右サイドバックのチャ・ドゥリの位置取りはCBと並び最終ラインを形成。一方のイ・ヨンピョはボランチの横くらいまでポジションを上げ、中盤のボール回しに参加していた。お互いに中盤の真ん中に位置する選手の数は同数(ボランチ2人、トップ下1人)のため、サイドバックが高いポジションをキープするとパスコースが増え、ポゼッションが高まる。日本のような無駄なバックパスも減る。サイドバックが高く位置取ることは、現在の欧州のトレンド。欧州クラブで活躍したイ・ヨンピョだからこそのポジショニングだった。高い位置取りのイ・ヨンピョの背後にはスペースがあるわけだが、サイドライン沿いでボール回しに参加しているイ・ヨンピョの身体の向きは中。ピッチ全体に目が届く。となれば背後のスペースはただのスペースで裏ではない。

イ・ヨンピョをマークするのは岡崎の役目。高い位置取りのイ・ヨンピョに吸い寄せられるようにズルズルとポジションを下げざるを得ない。岡崎が下がらなければ中盤の構成力で韓国が有利になるうえ、イ・ヨンピョの前にいるのは“韓国の英雄”パク・チソン。内田が一人で“ふたりの英雄”を相手しなくてはならなくなる。今まで機能していた日本の右サイドがあまり機能しなかった理由のひとつだ。内田もイ・ヨンピョのような“欧州型サイドバック”になってもらえたら…

一方の日本の左サイド、韓国の右サイドはともに“南米型サイドバック”がいるエリア。
ロベルト・カルロスやカフーに代表されるように、脅威のスタミナでアップダウンを繰り返すサイドバックが対峙。この手のサイドバックの場合、背後のスペースが“裏”になりやすい。
韓国の右サイドには“裏”があった。
チャ・ドゥリは縦にめっぽう強い。攻撃はもちろんだが、守備も縦に強い。ボールホルダーに対し直線的に奪いにいく。常に日本ゴール方向に力が向いているので、背後のスペースは“まさに”裏。ここを突いて日本の得点が生まれた。左サイドでボールを受けた本田がチャ・ドゥリの裏へ。トップスピードでオーバーラップしたきた長友に“ピタッ”と合った。チャ・ドゥリが反転して慌てて戻るが、加速がついている長友には追いつかない。ニアゾーンに侵入し前田へ。この時の前田の動きも理想的。相手DFとともにゴール前に走り込んだと思ったら急停止。ボールを見ながらゴール前へ戻る韓国DFから“一瞬”消えた。ホントに素晴しいゴールだったと思う。

後半に入ると韓国がシステムを変え、“いつもの”日韓戦に突入。フィジカルでゴリゴリくる韓国に押されまくった。特に2mくらいあるFWが入ってからは韓国の選手に迷いがなくなり、さらに押し込まれた。

ザッケローニがどのような采配を振るのか注目していた。

前田OUT、伊野波IN。

まさかの「5バック」。

時代が戻った感じがした。

この状態ではゴール前に人を増やしても意味がない。
韓国の2mくらいあるFWは身体も強く、岩政ですらゴリゴリ押され、ポジションをとれないのにだ。この2mくらいあるFWはまるで河田弟(スラムダンク)!上手さは全く感じないがとにかく強かった。こんなのないるのだから放り込まれたボールをなんとかしようとしてもなんともならない。ボールを入れさせないようにする方が得策のはず。案の定追いつかれた。

ザッケローニの“ボロ”が出た感じがした。
実に弱気な采配。ガッカリだ。

しかし、後日この試合のことを思い起こしてみた時に思った。
「じゃあ誰を入れればよかったんだ?」

細貝はすでに投入済み。ならば正解は誰だ?

思いつかなかった。

あのピリピリした状況できっちり役割をこなせそうな選手が全く思いつかなかった。

要は選手層がメチャクチャ薄いのだ。

スタメンも固定したのではなく、固定するしかなかったのだ。

レギュラーとベンチに差がありすぎる。そのため同じ選手しか使えなかったと考える方がシックリくる。
伊野波はサウジ戦でフル出場し、まずまずのプレーをした。伊野波以外に出場した選手はほとんどが及第点に程遠い出来。だから伊野波しか選択肢がなかったのだ。であれば、あの交代はしょうがないのかもしれない。そうであれば、次の代表召集には新しい選手が選ばれるはず。ザッケローニがとった交代劇の真意はその時にわかるのかもしれない。

それにしても本田は一皮向けた印象だ。格段に向上した判断スピードと、的確に行うチームプレー。チームが彼に対する依存とは極めて高い。これこそ替えが利かない。

敗れはしたが、韓国には層の厚さを感じた。日本以上に若手が台頭してきている感じもする。
この試合に関しては韓国の方が収穫が多かったかもしれない。

今大会、サイドで窮屈そうにプレーしていた香川が怪我をした。骨折で今季は絶望らしい。
決勝戦云々よりもドルトムントに申し訳ない。ドルトムントの今シーズンの優勝を願うとともに、香川にはしっかりと怪我を治して、再びピッチで暴れる姿を観せて欲しい。応援してるゾ!

〔独り言〕
決勝戦もテレビ朝日で放映されるらしい。
今大会解説を務めている元ヴェルディ監督のM木氏の解説がどうも気に入らない。そもそも解説なのだから、戦術の説明やプレーの意図などを“必要に応じて”伝えるべき。彼の解説は押し付け以外の何物でもない。まるでベンチにいるかのように「イケ!」「ショウブ!」などを連発。行かなかったり、勝負しなかった選手がミスをしたように聞こえてくる。「イイデスヨ、7バンエンドウ」も気に入らない。いいかどうか決めるのは視聴者だ。サッカーの見方、観る場所は人それぞれ違う。誤解がないように加えるが、自分の見方が正しいだなんて思っていない。しかしM木氏とは見方も、観る場所も全て違う。観る人のレベルは上がっているのにマスコミのレベルは全く上がっていない。年々レベルが上がっている選手、チームのレベルとマスコミのレベルは比例していない。選手は右肩上がで成長しているが、マスコミは昔のまま。いや酷くなっているかもしれない。視聴率を追い求めるテレビ局は「日本代表=お祭り」と考えている節がある。となればM木氏は祭りにおける“お囃子”だ。何かがズレている気がするのだが…

韓国戦!(今更ですが…)
イ・ヨンピョはこの試合を最後に代表を引退すると宣言。香港スターのような風貌、賢さがにじみ出ているプレーが好きでした。


同じカテゴリー(日本代表にモノ申す!)の記事

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

写真一覧をみる

削除
韓国戦!(今更ですが…)
    コメント(0)