「はあ…困った…」
弁当屋で商品を待っていると、隣にいるおじさんがこうつぶやいた。
(一体何が困ったんだろう)
と思い、おじさんの動向を注意深く観察していたが、特に困った様子はなく、商品を受け取るとソソクサと帰っていった。
震災が心配なのか、それとも震災の影響で仕事が滞っているのかは分からない。しかし、その場の雰囲気からすると、“何となく”発せられた言葉のような気がする。
「はあ…困った…」
を聞いてから、おじさんのことが気になってしょうがなかった。なぜなら“何となく”おじさんの気持ちが分かったからだ。
自分も何となく“困って”いる。
困っているというか、震災後、楽しい気持ちになれない。
震災から続く原発事故。
日本の将来が心配で仕方がない。
具体的に何がということではないが、“何となく”不安なのだ。
要するに、日本全体が“何となく”沈んでいる。
それでもスポーツ選手達のチャリティー活動などを見ると少しだが気が晴れる。
街頭で寄付金を募ったり、自ら義援金を被災地に送ったり、救援物資の積み込みを手伝ったりなどの話を聞くとわずかだが、“がんばろう”という気にもなる。
しかし、何かが足りない。
そんな中、サッカー日本代表の練習を公開し、チャリティーボックスを設け義援金を募る、という記事を見た。
「!」
ときた!
スポーツ選手はやはりプレーするからこそスポーツ選手。プレーを観せ、義援金を募るほうが実にスムーズ。しっくりくる。
なんだかんだ言ってもスポーツには人を元気にさせる力があるように思う。
被災地の方々はスポーツどころではない。
しかしながら、今回の震災は被災地だけではなく、日本全体から元気を奪い去った。
元気を出すためには日常を取り戻す必要がある。
被災地の方々が日常を取り戻すのには途方もない時間がかかると思う。それに比べれば、我々の方が元気を取り戻しやすいはず。
そのためには、自分にとっては、スポーツが必要。
29日のサッカーのチャリティーマッチから、前向きに生きるスポーツ選手から、たくさんの元気をもらいたい。そして一日も早く日常を取り戻せたらと思う。
こんな時だからこそ思う。
「スポーツが好きで良かった」と。

いつまでも諦めず、いつでも前向きなカズのように、日本中が明日に向かって生きられますように!