羨望の“平壌”!

11月15日。

34年前のこの日、横田めぐみさんが北朝鮮に拉致されたらしい。
そんな日に行われた「ブラジルワールドカップアジア3次予選」対北朝鮮戦。

日本は“すでに”最終予選進出決定済みで、北朝鮮は“すでに”3次予選での敗退が決定している。
普通に考えれば“ただの”消化試合。
それでも平壌で開催されるとあって、注目はめちゃくちゃ高かった。

現地へ行きたい気持ちが非常に強かったが、募集人数、募集期間が短すぎたため、なくなく断念。

約150人のサポーターと10人のマスコミが現地へと向かった。

出発時の映像では、代表ユニフォームを着ているサポーターがいたが、現地で見かけることはなかった。
代表ユニフォームには“日の丸”が入っている。きっとそのための“没収”(預かり)されたのだろう。
ツアー概要には「市内観光もできる」と書いてあった。撮影可能的なことが書いてあったが、カメラも没収されたらしい。
記念撮影は同行した北朝鮮のカメラマンが撮影し、欲しい人はそれを買わされたようだ。
さらに言うと、テレビを観た限り“ウルトラス”がいなかった。
いたのかもしれないが、ユニフォーム(ウルトラスTシャツ)を着ていなかったため、見つけ出すことができなかった。
※日の丸がついていない青いシャツを着ていたサポーターはいた。
くわえて、年配のサポーター(?)が多かったように思う。
なかなか入ることが出来ないと言われる平壌。「この機会に…」と、サッカーにあまり興味のない方も混ざってたのではないか。
(もちろん、それが悪いわけではない)

北朝鮮スポーツの“聖地”金日成スタジアムは5万人の北朝鮮サポーターで埋め尽くされていた。
日本の国家が流れると、一斉にブーイングをし、これをかき消した。

これについては、「失礼だ」などと日本では報道されていたが、どこにいっても“こんなもの”だと思う。
実際、ウズベキスタンでも同様なことはあった。
ただ、違いは“統制”がとれているかどうか。
北朝鮮の応援には“指揮者”が配置されており、声を出すタイミング、体を動かすタイミング、そしてマスゲームの指示を、試合そっちのけで出していた。そのため、5万人が一斉に声を出したりするため、異様な雰囲気を醸し出していたのだ。
さらに、本来あるはずの“広告”もなかった。通常であればピッチの周りはスポンサーの看板で埋め尽くされている。それが、ここには全くなかった。異様さを増幅させていた要因のひとつだ。

この異様な雰囲気が、単なる“消化試合”を、“国と国”の戦いへとグレードアップさせていた。

テレビの画面で観ていてもその“異様さ”が伝わってくる。

率直に言えば「行きたかった」。
その“異様さ”の中に身を投じ、肌で“それ”を感じたかった。


試合の方は5万人の声援を受ける北朝鮮は“絶対に勝つ”という闘志を剥き出しで日本ゴールへと迫る。

一方の日本は、最終予選への進出を決めていることもあり、試験的な要素が高い布陣。
タジキスタン戦から6人もスタメンを変更してきた。
興味深かったのは、左サイドバックに伊野波が入ったこと。
本職はセンターバックの選手だが、ザッケローニになってからは右サイドバックで使われることが多かった。
それがこの試合では“左”サイドバック。我々が思う以上に、この選手はユーティリティ性が高いのだろう。
この選手起用で、もうひとつ試したいことが見えた。
“4-2-3-1”から“3-4-3”への移行だ。
そもそも伊野波は、4バックから3バックに変更する際に、3人目のセンターバックとして途中出場することが多かった。
しかし、限りある交代枠をセンターバックに費やすのはもったいない。
そこで、あらかじめ伊野波を起用することで、3バックへの変更をスムーズに行いたい、という考えがあったのだろう。

試合は圧しに圧していた北朝鮮が1点を奪う。

ザッケローニはハーフナーを投入し、案の定“3-4-3”に移行する。
“4”にはセンターに長谷部と細貝が並び、左サイドに駒野が移動し、右サイドには内田が投入された。

何度も言うが、このカタチは“ダメ”。※はまぞうブログ「間違いだらけの“3-4-3”」参照

これは李が投入されたことで“ダメさ”に拍車がかかった。
3-4-3における“3トップ”の最悪のカタチ“1トップ2シャドー”のカタチだ。

これこそザッケローニが“あの”ミラン時代に採用していたカタチ…。

日本は北朝鮮に敗れた。

この敗戦により、日本が保持していた世界チャンピオンの称号(サッカーの国際試合をボクシングのタイトルマッチに見立てた非公式のタイトル)を北朝鮮に譲ることになった。※W杯でスペインが保持することになったが、親善試合でアルゼンチンに破れアルゼンチンに、そのアルゼンチンが日本に敗れたため、その後は日本が保持していた。※あくまで架空のタイトル。

負けたことは残念だったが、久々に“代表戦”を観た感じがする。

少し前までは「日韓戦」に“同様”の雰囲気があったように思うが、最近ではお互いがお互いをリスペクトしているのか、こんな“異様な”雰囲気はまるでない。そういった意味では非常に“観心地”のいい試合であった。

さらに加えるとするならば、ザッケローニが冷静に“消化試合”に徹したこと。
完全アウエーの雰囲気の中、普段なかなか使えないサブメンバーを多く使用できたこと、システムを2つ試せたことは大きかった、と思いたい。

しかし、思えば思うほど、“現地”で観たかった。

羨望の“平壌”!


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