「やっと!」
という表現になるだろう。
オリンピックで活躍した永井謙佑がベルギーリーグへ移籍した。
ドイツのチームからもオファーがあったようだが、選んだのはベルギーリーグのスタンダール。
日本代表の川島永嗣が所属するチームだ。
永井のスピードが海外(まずはベルギー)でどこまで通用するのか楽しみである。
そして永井と同じチームに小野裕二という、元マリノスのFWも加入することになった。
最近Jリーグから遠ざかっているせいか、恥ずかしながら、この選手のことをほとんど知らない。
調べたところによると、現在20歳。
マリノスには3年間所属(トップ登録)し、79試合に出場。
通算の得点は16点。
FWとしてはなんとなく寂しい数字のように思えるが、海外移籍を果たした。
これを見ると、Jリーグにも優秀な選手まだまだいそうな気がするが、よほど気にして観ないと気付くことはない。
優秀な選手の王道ともいえる「ユース→トップ昇格」が、より事態を複雑にしている。
以前は“露出”が高い高校サッカーのスターがプロになり、Jリーグで活躍し、そして代表へ…、というのが王道だった。
選手としてはもちろん、少年が大人へと成長する過程を楽しむことができ、そこに多くのドラマが詰まっていた。
ユースの育成システムは、欧米に追いつくためには不可欠なシステムだが、ドラマチックな“アイドル”を生みだしにくいシステムでもある。
要するに“露出”が少ない。
ユースの試合を地上波でお目にかかることはめったにない。
Jリーグも状況はさほど変わらない。
地上波でJリーグを観る機会はほとんどない。
情報はスポーツニュースに限られる。
そのスポーツニュースでさえ、サッカー情報の大半は“海外組”の情報で占められ、Jリーグに割かれる時間はごくわずか。
Jリーグに対する一層興味はそがれることになる。
一方で、日本代表の人気は異常に高い。
スタジアムは常に超満員。
視聴率は軒並み30%超え。
Jリーグの視聴率はどんなもんだろうか。
果たして5%あるだろうか…。
「代表選には興味があるが、Jリーグには興味がない」
ほとんどの人がこの状況。
もちろん、自分ももはやこの状況にあるといえる。
なぜか…。
理由は明白。
代表チームにJリーガーがいない。
スタメンを見渡せばそれは明らか。
遠藤と今野以外は全員が“海外組”。
視線は自ずと海外へと向けられる。
代表戦でしか、その雄姿が観られないという状況が熱狂に拍車をかける。
海外でプレーする選手が増えた(下部リーグも入れれば150人くらいが海外でプレーしているらしい)ことは実に喜ばしいことだ。
サッカーをプレーする子供たちの夢はとてつもなく広がった。
代表チームに関しても強くなっている“ような”錯覚さえ覚える。
しかし、しかし、だ。
国内にも日本代表にふさわしい選手がいるのではないか。
例えば、永井も小野日本代表に選ばれていない。
永井に関しては、先のオリンピックのベスト4進出の立役者。
フル代表に選らばれてもおかしくないと思っていたが、選ばれる気配はない。
2月6日に代表の親善試合が行われる。
対戦相手はラトビア。
一応は、3月下旬に行われるワールドカップ最終予選に向けての強化試合。
最終予選の対戦相手となるヨルダンを想定しての試合となるはずだが、ラトビアとヨルダンに共通点を見いだしにくい。
ヨーロッパ組はリーグ戦真っただ中。
香川と内田に関して言えば、翌週にチャンピオンズリーグを控えている。
にもかかわらず、海外組18名に招集レターを送ったらしい。
全員が招集に応じるとは考えにくいが、従来のレギュラーメンバー全てにレターを送った。
中でも目を引いたのが“大津祐樹”。
彼もまたオリンピックベスト4の立役者のひとり。
だが、なぜ彼なのだろう。
大津の今季挙げた得点は(たぶん)1点のみ。
プロ入りしてから挙げた得点はわずか9点(昨年まで)。
あまりにも寂しい。
本当に他に、Jリーグに彼以上の選手はいないのだろうか。
オリンピックでベスト4に進出したメンバーは一躍脚光を浴びた。
面白そうな選手も何人かいた。
その選手たちはJリーグで活躍しているため、オリンピック後は(少しだが)Jリーグに興味を持つことができた。
そんな人は多いと思う。
オリンピックとはいえ日本代表。
魅力的なコンテンツだった。
日本代表というメガコンテンツを抱えるサッカー協会、とりわけ人事権のある代表監督には大きな責任がある。
国内選手をないがしろにし、“海外組”というネームバリューで選んでいる感が強い代表監督を思うと、実に不安になる。
「ワールドカップに出たいがJリーグでプレーしていては可能性が低い。どこでもいいから欧州でプレーすれば可能性が一気に高まる」
選手ならそう考えるのも当然だろう。
ベルギーリーグという渋いリーグに日本人が3人もいる“怪”はこんな思考が絡んでいるかもしれない。
で、前置きはこの辺にして、言いたいことは…
「ラトビア戦こそ“新しい選手”を使え!」
ラトビア戦のメンバーは1月31日に発表される。