第6話/ダーバンのチリ人!

ヨハネスブルグから「1time航空(1時間航空?)」で1時間30分…

飲まず食わずで1時間30分…

格安航空会社のため機内サービスは全て有料…

有料ということは会話をしなければならない。例えば飲み物が欲しい場合は、どんな飲み物があるか聞いて、それがいくらか聞いて、そしてお金を払わなければならない。

要するに“会話のキャッチボール”が必要になる。

繰り返すが“我々”は英語がしゃべれない…

結果、飲まず食わずで1時間30分…

無事ダーバン国際空港へ到着。

すると

「チケットアマリナイデスカ?」

突然外国人に声をかけられた。

人間の“慣れ”とはスゴイもので、日本を発って約40時間。なんとなく外国人の言ってる意味がわかるようになってきている自分に驚いた!

昔学校の先生が言ってたっけ。

「英語は習うより慣れろ」

ホントだ!

声を掛けてきたこの外国人、見た感じ悪そうな人ではない。どちらかというと(いや確実に)いい人そうだ。この人はチリ人で、チリは久しぶりのワールドカップ出場だからワールドカップを満喫したい。そのためには1試合でも多く試合を見たい。翌日の「日本対オランダ戦」を見たいのだが観戦チケットがない。だからチケットが欲しい、のだそうだ。

我々は余分なチケットを3枚“も”持っている。

ヨハネスブルグでメキシコ人にもらったチケットだ!

もらってくれる人を探していた。
(え!?チケットは売買だけではなく、譲渡も禁止だって!?いやいや我々は届けるだけ。本人照合のICチップも入ってるから、もらった人が入場できるかわからないし…)

どうせならキレイな女性がいいと思っていた。
当然我々のテンションも上がるし、上手くいけば一緒に食事ができるかもしれない。

この人はオジさんだった。

しかしこのオジさんはとびっきり素晴らしい“笑顔”を持っていた。

我々はトランジットで滞在したバンコクで、タイ人女性の素敵な“笑顔”に救われていた。

「このオジさんにあげようよ」

モリモリもひらっちも気持ちは一緒だった。

東京の英語が話せるふくさんとなべちゃんに事情を説明し、このチリ人のオジさんに3枚全てあげた。

その直後、誰かが手を引っ張った!

「スイマセン!写真撮らせてください!」

読売新聞の記者だった。
日本代表ジャージを着ている我々はダーバンでも目立っていた。
手をひっぱられ外へ行くと、そこには現地の人が待機していた。
※その中の一枚が翌日新聞に載ってたらしいけど…

第6話/ダーバンのチリ人!
現地の人っていっても“超インド人”じゃん!
ダーバンにはインドからの移民が数万人もいるらしい…

「そういえばオジさんに“バイバイ”言ってなかったね」

さっきの場所に慌てて戻ったが、チリ人のオジさんはいなかった。
日本代表ジャージのせいで「サヨナラ」を言えなかったことになる。

するとなべちゃんがイヤな一言を発した。

「あのチリ人、チケット売るんじゃない?」

ふくさんはうなずいていたが、我々は聞こえていないふりをしていた。

我々3人は知っていた。

あの“笑顔”をする人に悪い人はいない!

たとえそれが日本だろうと、世界だろうと!

ただ、素敵な笑顔を持つチリのオジさんと一緒に写真を撮れなかったのが残念だった…


気が付くと我々のまわりには数組の日本サポーターが集まっていた。
数組といっても総勢7名(もちろん我々も入れて)。

ダーバン市内にあるホテルへは“少々(?)危険だが”シャトルバスで向かうことにした。

バス乗り場を見つけ、バスを待っている間、モリモリがずっとソワソワしている。手には、明らかにネットからプリントアウトした“だけ”の紙切れを持って、英語で書かれた文章とにらめっこしている。

「これでホテルチェックインできるよね?」

(おいおいモリモリ、今ですかあ?)

冬のダーバンの透き通った青空が、徐々に夕暮れへと変わりはじめていた…


次回はいよいよダーバン市内へ!3人は無事チェックインできるのか?

第6話/ダーバンのチリ人!
1time航空から見た南アフリカ。何も変わらない景色を1時間30分見続けていたのでした…



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