第22話/伝説の幕開け!

ホテルへ戻るころには、あたりはスッカリ暗くなっていた。

この日は、ワカさんが日本代表の次に愛している“イタリア代表”の試合がある。
相手は“圧倒的”格下のニュージーランド。初戦のパラグアイを引き分けたイタリアはぜひとも勝って“勝点3”を手にしたい相手だ。

慌てて目の前のファンフェスタ会場へ。

試合はすでに始まっていた。

この日は、昨日にも増して“黒人”が多い。あたり一面“真っ黒”だ。
それでも愛しているイタリアを応援しようと、スクリーンを凝視する。

「うわ~、外した~」
ワカさんが頭を抱える。

「うわ~、また外した~」
またまた頭を抱える。

試合が進むにつれ、ある“異変”に気が付いた。

黒人は“みんながみんな”ニュージーランドを応援していた。
アフリカの人たちは“原則として”弱いチームを応援するようだ。
イタリア対ニュージーランド。どう考えても弱いのはニュージーランドだ。

「ちょっとヤバくないっすか?」
ひらっちも異変に気付いたようだ。

周囲の黒人は敵対視でこちらを見ている。

そりゃそうだ。我々3人はイタリア代表のユニフォームを着ている。
どっちを応援しているのかは一目瞭然だ。

「ジャージ着てイイっすかねえ?」
危険察知能力に長けたひらっちがいち早く防御策にでる。

一方のモリモリは
「だ~いじょ~ぶ、だ~いじょ~ぶ」

相変わらず能天気だ。

イタリアがミスをした時の歓声が大きくなってきた。

我々の周りに黒人が集まりだしたのだ。

イタリアがミスをする度に、我々に向かってガッツポーズをし、奇声を上げる。

「これヤバイな…」

もはや試合どころではない。

違う意味の緊張感で“あっ”という間に試合は終わった。

「もうマジでヤバい!すぐ飯食いにいくか…」

慌ててファンフェスタ会場を後にする。

夕食はホテルビーチ1階のレストランでとることにした。
我々は昼食もここでとったのだが、フクさんとナベちゃんはその時いなかったため、そこに行くことにした。

第22話/伝説の幕開け!
店内には日本人は誰もいなかったため、異国情緒満載!

早速ビール。
「スリービアー、ではなくファイブビアープリーズ」

空腹の我々は目に付いたものを“ドンドン”注文する。

第22話/伝説の幕開け!
ここのステーキは“絶品”!これで800円くらい。とにかく安い!

第22話/伝説の幕開け!
シュリンプ2kg!他のテーブルの外人さんのほとんどが注文していた。たぶんこの店の人気メニュー。これも800円くらい。ホント安い!この他にもサラダや牡蠣、ムール貝などを注文。野菜は新鮮だし、貝類のウマイ!味付けはスパイシーだからビールも進む。

フクさん、ナベちゃんチームと我々は、日中別々に行動していたため、お互い日中の報告をしあった。

「オレらはビーチをず~と歩いて、ウシャカマリンワールドまでいっちゃいました」
モリモリを中心に日中の出来事を話す。

「で、フクさんたちは何してたんスか?」

「オレらはね、街中を徘徊していた」

「え?徘徊って?」

「ここの前の道をず~とむこうまで、美術館のほうまで歩いてね」

「美術館?メチャクチャ遠いじゃないですか!?しかもその辺、危険地域じゃなかったでしたっけ!?」

「そう。何人にも「お前ら迷ってんのか?」って声掛けられた。怖いから無視してたら覆面警官で…」

この二人、“メチャクチャ”チャレンジャーだ。

会話が弾めばビールも進む。

我々(浜松3人組)はビールを飲むために生きているようなもの。容赦なくビールを飲みまくり、次々とジョッキを空にしていった。

気が付けば、
「スリービアープリーズ!」

東京のふたりは我々のペースについてこれない。

大食漢のモリモリとフクさんがいるため、料理もどんどん注文。これにナベちゃんも追随し、テーブルはさながら“大食い選手権”の様相となった。

「もう食えないっス…」
ひらっちとワカさんは早々にギブアップ。ビールも10杯以上空けている。お腹は“パンパン”だ。

「ビール入んないからワインにするか」

南アフリカの赤ワインを注文。
また、これが“ウマイ”!

次々とボトルを空にしていく。

そんな最中、奥のテーブルに“イタリア人”がいるのを見つけた。

第22話/伝説の幕開け!
美しいブロンドヘアーに白い肌。ビールには目もくれず、ワインを飲むその姿はイタリア人そのもの!

この日の試合は引き分けに終わったため、心なしかテンションが低い。

「おい、イタリア人いるよ!一緒に写真撮りて~」
ワカさんがひらっちに話しかける。

「いいんじゃないですか?」

「見てみい、テンションメチャクチャ低いじゃん!?行きずらいじゃん」

「もっと飲んじゃえば行けるんじゃないですか?」

「!」

さらにワインを頼み、さらに“酔っぱらう”ことを選択。

ワカさんのテンションは見る見るアップ!

「よ~し、行ってくるか!」

「じゃあオレも行きたいっス!」

第22話/伝説の幕開け!
待望の1枚!女の子ふたりとの“ツーショット”を目論んだが、彼氏を思われる男が乱入し、5人で撮ることに…。

「よ~し、こうなりゃどんどん行こう!」

怖いモノがなくなった!

第22話/伝説の幕開け!
オランダ人、デンマーク人、そして日本人の“奇跡”のコラボ!

「よ~し、ファンフェスタ行こう!」

この頃にはワインも10本くらい空いていた。

怖くて、尻尾巻いて帰ってきたのに、再びファンフェスタへ行くことにし、テーブル担当のウエイトレスにお別れの挨拶。

お会計を済ませると、ひとり当たり2,500円くらい!とにかく安かった!

ダーバンの夜を日本色に染める“伝説の夜”の幕が開けた…


つづく



同じカテゴリー(ワールドカップ珍道中)の記事

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

写真一覧をみる

削除
第22話/伝説の幕開け!
    コメント(0)